True Colours
国際カミングアウトデーをきっかけに、フォトグラファーEric Brumfieldとドラッグクイーンの衣装デザイナーであるKate Kelly-Johnsonが考えるLGBTQ文化と自己実現の在り方に迫ります。
True Colours
国際カミングアウトデー (National Coming Out Day)とは
10月11日は「国際カミングアウトデー」(National Coming Out Day)です。性的指向や性自認をカミングアウトしたセクシュアル・マイノリティ(LGBTQ)の人々を祝福する日となっています。
そこで今回、国際カミングアウトデーをきっかけに、写真家のEric Brumfield(エリック・ブラムフィールド)とドラッグクイーンの衣装デザイナーであるKate Kelly-Johnson(ケイト・ケリー・ジョンソン)がLGBTQ文化と自己実現の在り方ついて語ってくれました。また、年齢、人種、性別を超えたクリエイティブな思考などについても話してくれています。人物写真や衣装のデザインなどクリエイティブの世界は、最終的に人の心や考え方を豊かにし視野を広げてくれます。
エリックは人々の写真を撮るたびに自分自身のことを見つめ直しているそうです。彼の写真の作品を見ていると、ダイナミックな色彩、照明、小道具の要素を駆使し、被写体が持つオーラを上手に引き出しています。またオーストラリアの*クィアコミュニティをテーマにしていることが多く、自分の個性を自分のものにした人たちのユニークな人生を称えているようにもみえます。
*クィア(Queer):元々「風変わりな」「奇妙な」などを表す言葉であり、同性愛者への侮蔑語でありましたが、現在ではセクシュアルマイノリティ(LGBYQ)の人たちの総称として肯定的な意味で使われています。


自己表現とアート
アデレード交響楽団や南オーストラリア州立劇場とのプロジェクトに携わってきたエリックのアプローチは、真実と楽観主義の価値観に基づいています。商業キャンペーンから個人的に依頼された写真撮影まで、自分の仕事を通してクィアの人々にメッセージを投げようと心がけています。
「クィアである私は与えられた社会の中で、常に枠の外から考え、想像力を働かせなければなりません。私は常に自分の作品を通して、普段忘れがちなクィアの人々が本来持っている素敵な個性やパワーを認識してもらいたいと思っています。」
「また、本人がクィアであることをオープンにしていること、そして本人が社会や世間にそれぞれの個性として認められることはとても重要だと感じています。カミングアウトができずに自分の殻に閉じこもっているというのは過去のことだと思っています。国際カミングアウトデーは、人々が自分たちのクィアだということを認めることをサポートする良い機会でしょう。」
「ドラッグアート」もまた、エリックの作品の中でよく取り上げるテーマの一つです。彼が言うように、ドラッグアートは個人の社会的地位いわゆるアイデンティティを祝うものであり、「ルポール」という世界的に愛されているテレビ番組や、SNS上で何百万人ものフォロワーを持つドラッグアーティストの存在もあって、近年ではドラッグアートにスポットが当てられるようになってきました。ドラッグは音楽、アート、デザインが重なり合った複数の創造的な言説を巻き込んでいます。
「また、ドラッグアートは究極のアクティビズムであり、自分のクィアネスと創造性を所有するものだと思います。私はドラッグクイーンの人たちをとても尊敬しています。パフォーマンス、衣装、メイクアップに至るまで、ドラッグアートには遊び心のある要素がたくさんあります。それは写真撮影と密接に関係しています。一人一人がそれぞれの個性を持っているので、無限の創造性のコラージュが可能になります。」
楽観主義のメッセージ
エリックのようにクィアであることは、社会を生き抜く上で舗装されていない道を歩んでいるようだと言います。また、世界は時に暗く混乱していると感じることがあります。だからこそ、あなたを受け入れてくれるコミュニティがあなたをサポートし、あるがままのあなたを受け入れてくれるということは大きな安心感を与えてくれるのです。
「私はいつも花や色に惹かれ、それらを写真に収めることによって希望に満ちた楽観的な気持ちになってもらえるようにと願っています。エリック個人的には、アートと写真は自分の「個性」を探す旅のようなもので、大きな側面を持っています。」と彼は言います。
また、自分自身を表現することができないと感じたときや、暗い日々を乗り越えるためのアドバイスを聞いたところこのように応えてくれました。




「自分の体と心の調子を整えることと、自分の中にある感情やエネルギーに耳を傾けることだと思っています。まずは深呼吸をして、あなたの目的が何であるかを明確にし、どのようにあなたがその目的を達成することで辛い時から乗り越えられるかもしれません。」
「その他にも、どんな色や事があなたの感情を刺激するかポジティブにさせてくれるかなどを考えてみてください。アート、メイクアップ、ファッションなど、日常生活の中で自分の好きなことや色を見つけ頻繁に使うようにしましょう。それは自己を表現することに繋がるでしょう。」
カラフルな生活
一方で、メルボルンを拠点に活動するドラッグクイーンコスチュームデザイナーのケイトは、本物の自分を表現する上で、色とデザインの重要性を感じています。イギリスのマンチェスターで交換留学をしていたとき、ケイトはドラッグアートに興味を持ち、この街の寛容的でダイナミックなコミュニティに魅了されたと言っています。
「ドラッグクイーンのデザインは、ファッション、コスチューム、アートの全てにおいて私が表現したいものなのだと気付きました。今年の初めにメルボルンに戻ってからは、オーダーメイドのドラッグデザインに特化した、フリーランスのファッションデザイナーとして働いています。」
ケイトのデザインには、楽しい子供心が詰まった明るくて風変わりな作品が多く見受けられます。友人やクライアント、そして世界で最も有名なドラッグクイーンのアイコニックの一人であるJuno Birchのためにカスタム衣装を制作してきたケイトは、私たちのファッション、スタイル、色の選択は、私たちが誰であるか、どういう社会的立ち位置にいるのかを世界に示すものだと考えています。これらは表現していくものであり決して隠すものではないのです。
「たとえあなたにクィアの知人がいなくとも、国際カミングアウトデーを知り、自分が本当の自分であることを世界に伝えようとしている人たちの勇気に敬意を表することは大切なことです。私の人生の中でLGBTQIAの人たちは、強い個性を持っていて、自信に満ち溢れていて、とても刺激的です。」と彼女は言います。
ケイトのアドバイスは、私たちの不完全さを受け入れることであり、大変な出来事を乗り越える時こそ、本物の自分を知れる時なのかもしれません。自分の個性を持つことは、自分自身を信じることから生まれるものなのです。彼女の作品は、無視できないほど明るく大胆な色を好んでおり、MAISON de SABREのコレクションの中でも特にお気に入りの色はザクロレッドだそうです。
マンチェスター・メトロポリタン大学のデザインの先生が、ある日私の作品を見た後に「あなたのデザインはクレイジーね、でも世間はこういうクレイジーなものが好きだと思うから、クレイジーなままでいてね。」と言われました。
「皆それぞれが持っているビジョンはユニークなもので、世界はその個々のビジョンを尊重し見るべきです。」
今回、MAISON de SABRÉのために撮影をしてくれたエリックの「スチルライフシリーズ」に、ブラックキャビアのスマホケース、エメラルドグリーンのスマートウォレット、クラッチバッグが登場しています。洗練されたシルエットや躍動感あふれるカラーパレットのパーソナライズされたレザーグッズのコレクションを是非ご覧ください。
#MakeYourMark